当院の甲状腺外来について
様々な体調不良の原因が甲状腺ホルモンの異常によるものなのかどうか、頸部の腫れが腫瘍などによるものなのかを血液検査と頸部超音波検査などから判断し、丁寧に説明します。
血液検査は迅速検査が可能な体制となっておりますので、血液検査後約1時間で結果を説明することが可能です。
また、甲状腺の良性腫瘍やバセドウ病、悪性腫瘍に対して手術による治療も行っております(鏡視下手術を含む)。
詳細は以下をご覧下さい。
甲状腺の病気について
甲状腺の病気には、ホルモンの分泌異常から起こる機能性のものと、結節(しこり)ができる腫瘍性のもの二つに大別されます。
1.甲状腺の機能異常によるもの
甲状腺機能異常には大きく分けて、機能亢進症(ホルモンが出すぎる)、機能低下症(ホルモンが出にくくなる)の二通りあります。
甲状腺機能亢進症の原因と症状
バセドウ病:自己抗体が自身の甲状腺を刺激し続けることで起こります。
無痛性甲状腺炎:甲状腺の自己免疫異常で一時的に甲状腺が壊れることにより起こります。痛みはありません。
亜急性甲状腺炎:上気道炎などのウイルス感染に引き続いて起こるといわれています。圧痛(かなり痛い)が特徴です。
【主な症状】甲状腺腫大、眼球突出、頻脈、動悸、異常発汗、体重減少、集中力低下、手の震え、暑がり、イライラする
甲状腺機能低下症の原因と症状
橋本病:自己抗体が自身の甲状腺を壊すことでホルモンが作れなくなります(不妊の原因にもなります)
【主な症状】甲状腺腫大、まぶたの浮腫、無気力、眠気、寒がり、物忘れ、体重増加
ホルモンの異常は日常生活に大きな影響を及ぼします(仕事のミスが増えたり、成績が低下するなど)。
これらの異変を感じた時には受診するようにしましょう。甲状腺機能異常は採血で診断がつきます。
2. 腫瘍性のもの
くびの腫れ、すなわち甲状腺腫といわれるものです。鏡などを見て自分で甲状腺腫に気づくこともあれば、ほかの人に指摘されて病院を訪れる人もいます。
甲状腺腫には良性と悪性(癌)があります。これらは採血結果では判別することができません。触診の後に超音波検査を行い、細胞診(超音波で確認しながら細い針を刺して細胞を採る)を行うことで初めて診断がつきます。
注)なお、腫瘍の大きさは良悪性の鑑別には関係ありません。小さいからといってそのままにしてはいけません。
検査の詳細
■ 血液検査
甲状腺ホルモン(FT3、FT4)と甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定します。
■ 超音波検査
甲状腺の大きさ、形状、結節の有無を確認します。
■ 細胞診検査
針を使って甲状腺結節から細胞を採取し、顕微鏡でがん細胞の有無を調べます。
■ CT
病変の⼤きさや広がりを評価します。
甲状腺疾患の治療
②放射性ヨード内用療法
③手術(基本は甲状腺全摘術)
無症状の場合は経過観察、最大径40mm以上であれば手術を検討します。
②嚢胞
穿刺吸引を行うことがあります。
繰り返す場合にはPEIT(エタノール注入療法)を行うこともあります。
③悪性腫瘍
手術→CT(造影剤を使用)で病変の拡がりを評価し術式を決定します。
内視鏡下甲状腺切除術について
従来の切開とは異なり、右鎖骨下に3cm、前胸部や必要に応じて左右の頸部に5mmの切開をおいて手術します。
手術に伴う影響ならびに合併症
1.反回神経麻痺(嗄声←声のかすれ)
2.低カルシウム血症によるしびれ感(テタニー)
3.術後出血
4.上喉頭神経外枝損傷
5.頸部の違和感
6.創部感染
7.甲状腺機能低下症(全摘の場合には永続性)
注)なお、腫瘍の大きさなどにより内視鏡手術が適応とならない場合があります。
当院での手術実績
当院で行われた手術実績を公開しております。
☆2023年11月〜2024年12月当院手術実績
手術数:75例 (全身麻酔:58例、局所麻酔:17例→整形外科4例、皮膚科13例)
外科:58例(全例全身麻酔)
→甲状腺手術57例(正中頸嚢胞、鼠径ヘルニア同時手術含む)、その他:1例(鼠径ヘルニア術後慢性疼痛メッシュ除去)
甲状腺悪性腫瘍:17例(甲状腺乳頭癌:10例 甲状腺濾胞癌:3例 甲状腺髄様癌:1例 リンパ節再発:3例)
甲状腺全摘術+頸部リンパ節郭清:12例(うちD2郭清以上:6例)、甲状腺葉切除+頸部リンパ節郭清:2例、リンパ節群郭清術:3例
バセドウ病:6例
バセドウ甲状腺全摘術:6例(うち鏡視下手術:1例)
甲状腺良性腫瘍:32例(腺腫様甲状腺腫(多発結節含む):25例 濾胞腺腫:7例)
甲状腺全摘術:19例、甲状腺葉切除術もしくは部分切除術:13例(うち鏡視下手術:3例)
以下は出張先での手術実績
☆医療法人社団金地病院(東京)での手術実績(2024年1月〜2024年12月)
手術執刀数:45/475例
甲状腺悪性腫瘍:27例(甲状腺乳頭癌:21例 甲状腺濾胞癌:1例 甲状腺髄様癌:1例 悪性リンパ腫:1例 甲状腺未分化癌:1例 リンパ節再発:2例)
甲状腺全摘術+頸部リンパ節郭清:18例(うちD2郭清:9例 D3郭清:4例)、甲状腺葉切除+頸部リンパ節郭清:5例、腫瘍切除のみ:2例、リンパ節群郭清術:2例
バセドウ病:3例
バセドウ甲状腺全摘術:3例
甲状腺良性腫瘍:15例
腺腫様甲状腺腫(多発結節含む):10例 濾胞腺腫:5例
甲状腺全摘術:6例、甲状腺葉切除術もしくは部分切除術:9例(うち鏡視下手術:2例)
受付情報
新規患者様の受付時間
午前9:00〜11:30 / 13:30〜16:30
※火・水曜日は16:00まで、土曜日は15:00までの受付となります。
※第1、第3木曜日は、午後休診です。
通常の受付時間
午前9:00〜12:00 / 13:30〜17:00
※火・水曜日は16:30まで、土曜日は15:30までの受付となります。
※第1、第3木曜日は、午後休診です。