声の変調すべてが甲状腺によるものというわけではありませんが、声の変調に気付いたらまず、耳鼻咽喉科で声帯など喉に異常がないか診察を受けてみてください。
人の声は、複数の器官により調整されおり、なかでも声帯は重要な役割を担っています。声帯は気管の入り口にあり、息を吸うときは開き、声を出すときは閉じた状態で振動しています。
この声帯を動かしているのが、反回神経です。反回神経は左右に1本ずつあり、脳幹から枝分かれして、喉頭を通り越し、右は鎖骨下動脈、左は大動脈弓を折り返して(反回して)喉頭に入るため、このように呼ばれています。反回神経は甲状腺の背面近くを走行しているため、甲状腺癌が反回神経に浸潤したり、手術により反回神経がダメージを受けてしまうと、反回神経麻痺(声帯麻痺)を起こします。麻痺を起こすと、発声時の声帯閉鎖がうまくいかず、声がかすれたり、弱々しくなったり、長く続かなくなったりします。また、重度の甲状腺ホルモン低下によって声帯にむくみを起こした場合にも、声がかすれる場合があります。
ただ、声の変調すべてが甲状腺によるものというわけではありません。声の変調に気付いたらまず、耳鼻咽喉科で声帯など喉に異常がないか診察を受けてみてください。甲状腺と声の変調との関連が疑われるときには当院の担当医にご相談ください。